岡田美智男 (Michio OKADA)

1987年東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。
NTT基礎研究所 情報科学研究部、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)などを経て、
2006年より豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 教授。
専門分野は、コミュニケーションの認知科学、社会的ロボティクス、ヒューマン-ロボットインタラクション。
特に、自らはゴミを拾えないものの、子どもたちの手助けを上手に引き出しながら、ゴミを拾い集めてしまう〈ゴミ箱ロボット〉、モジモジしながらティッシュをくばろうとする〈アイ・ボーンズ〉、昔ばなしを語り聞かせるも、ときどき大切な言葉をもの忘れしてしまう〈トーキング・ボーンズ〉など、関係論的な行為方略を備える〈弱いロボット〉を研究。
これまで学生たちと30タイプを越えるオリジナルなロボットを構築 ( https://www.icd.cs.tut.ac.jp/ )。
主な著書・編著に、『〈弱いロボット〉の思考』(講談社現代新書、2017)、『ロボットの悲しみ』(新曜社、2014)、『弱いロボット』(医学書院、2012)、『身体性とコンピュータ』(共立出版、2001)、『口ごもるコンピュータ』(共立出版、1995)など。

 

主な経歴:
  • 昭和62年4月 日本電信電話株式会社(NTT) 基礎研究所 情報通信基礎研究部 入社
  • 平成 3年 2月 日本電信電話株式会社(NTT) 基礎研究所 情報科学研究部 主任研究員
  • 平成 7年 2月 国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 知能映像通信研究所 主任研究員
  • 平成13年10月 国際電気通信基礎技術研究所(ATR) メディア情報科学研究所 主任研究員
  • 平成14年10月 国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 知能ロボティクス研究所 主任研究員
  • 平成15年 6月 国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 人間情報科学研究所 主任研究員
  • 平成16年 4月 国際電気通信基礎技術研究所(ATR) ネットワーク情報学研究所 生態学的コミュニケーション研究室 室長
  • 平成10年4月~平成18年3月 京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 人間機械共生系(連携)講座 客員助教授(兼務)
  • 平成18年 4月 豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 教授 (現在に至る)
テーマ1:社会的ロボットおよび関係論的なロボットの構成原理に関する研究
わたしたちの身体は自己完結しているように見えるけれども、その視点を内側に移してみると、自らの顔さえ自分では見ることができない不完結なものなのではないか。こうした生態心理学や身体性認知科学の観点から、周囲を味方にしながら、合目的的な行為を遂行していく関係論的な行為方略を備えた〈弱いロボット〉の研究を進めています。
  • 自らではゴミを拾えないものの、子どもたちの手助けを上手に引き出しながら結果としてゴミを拾い集めてしまう〈ゴミ箱ロボット(Sociable Trash Box)〉や、モジモジしながらも相手の手助けを借りつつ、ティッシュを手渡そうとする〈アイ・ボーンズ(iBones)〉などの研究。
  • 聞き手の手助けを引き出しながら、一緒に発話を組織する〈Talking-Ally〉や、言葉足らずな発話で、周囲の人の助け舟や積極的な解釈を引き出しながら、多人数での会話連鎖を組織する〈む~(Muu)〉など、人とロボットとの社会的相互行為の組織化に関する研究。
テーマ2:コミュニケーションやインタラクションの認知科学
「伝えようとしても、伝わらない」ということがある一方で、「伝えようとしなくとも、伝わってしまう」ということも。本研究では、周囲の人の積極的な解釈を引き出す〈引き算としてのデザイン〉手法やその解釈を方向づける最小の手掛かりである非分節音や「もこもこ音」などを援用しながら、人とロボットとの新たなコミュニケーションの在り様を探っています。また、同一の身体を共有することで可能となる人と人との身体的・原初的なコミュニケーションの様相を構成論的に探っています。
  • 他者の解釈を積極的に引き出しつつ、その解釈を方向付ける最小の手掛かり(minimal cues)やそのミニマルデザインに関する研究。
  • フラフラと彷徨うだけのロボット〈ペラット〉など、「関係としての同型性」や「なり込み」に基づく人とロボットとの原初的コミュニケーションに関する研究。
  • 一緒に手をつなぎながら並んで歩くロボット〈マコのて〉など、並ぶ関係に基づく間身体的なコミュニケーションの研究。
テーマ3:〈弱いロボット〉の概念に基づくインタラクションデザインとその社会実装
「もっと、もっと」と機能性や利便性を高めたシステムは、わたしたちを受動的な存在とし、ときには傲慢さを引き出してしまうことも。本研究では〈弱いロボット〉や〈不便益〉などの観点から、わたしたちの優しさや工夫を引き出したり、新たな学びを生み出すようなインタラクションデザインとその社会実装を進めています。
  • ときおり大切な言葉を忘れしてしまう〈Talking-Bones〉などを援用した、他の世話をしつつも、結果ととして自らも学んでしまうような関係発達論的な学びの場のデザインや他のケアをしつつ、自らもケアされるような関係論的なケアの可能性の探求。
  • 自動運転システム(Level 3)とドライバとの協調を生み出すドライビング・エージェント〈NAMIDA〉など、お互いの〈弱さ〉を補いつつ、その〈強み〉を引き出しあうような、人とロボットとの共生論の構築。