Muu


 私たちの身体とはどのようなものなのか。日々のなにげないコミュニケーションの基底を私たちの「身体」が支えている。そのように思うけれど、その「身体」の正体はなかなか捉えどころがない。そのようなわけで、その「身体」らしきものを作りながら、その「身体」はどのようなものかを考えようとしてきた。そうした過程の中から、Muuという仮想的なクリーチャが生まれてきた。
 私たちの身体を捉えるときに、少なくとも二つの視点がある。その一つは、私たちの身体を外側からみる「観察者の視点」である。傍らにいる者の「からだ」を眺めてみると、そこには手足や胴体があり、顔があって、目と鼻と眉がついている。しかし、それを精緻に模擬しても、なぜか「身体」に接近した感じはしない。
 それでは、私たちの身体を「行為者の内なる視点」から捉えてはどうか。私たちの内なる視点からは、自分の身体を直接に見ることはできない。けれど、それは他との関わりの中で立ち現われてくるように思える。それはアーリック・ナイサーによって「生態学的な自己」と呼ばれたものだ。周囲との関わりの中で自分の「身体」を探し続けようとする、そういうエコロジカルな「身体」について考えても面白いだろう。
Muu



Muuのデザイン
Muuのデザイン

 エコロジカルな「身体」としてのロボットを具現化できないか。そのために必要なものはなにか。Muuのデザインでは、他との関係の中で機能を発現させるという観点から、個体としての機能をそぎ落としていく、「引き算としてのデザイン」という手法が取られている。
 最小構成要素として、「行為者の内なる視点」を備えるという意味でひとつの?を必要とする。それと、他者に対してその存在を示すための最?限のボディ、そして志向性の表示、社会的な表示機構、身体配置やその姿勢を調整するための機構。あとは、いかに他者の関わりを引き出すか。
 Muuの真ん中についている大きな目、ふっくらとした頬、ヨタヨタしたぎこちない動き、丸みを帯びた体型、やわらかく弾力的な体表など、ちょうど動物?動学者のローレンツのいう「幼児図式」に沿った形をしている。動物の?どもが?親の養育?動を引き出すために進化的に獲得した「かわいらしさ」、養育者に対する解発刺激であるという。
 その外装は、発泡ウレタンで作られており、乳幼児の肌のように、しっとりとして柔らかい。それと「ヨタヨタ」した動きを、その身体を支えるスプリングと駆動系との組み合わせの中で生み出している。
Muuのデザイン



一人では何もできないロボット
 エコロジカルな「身体」についての議論の中から生まれてきたMuuには、そもそも手足がない。モノをつかんだり、手振りで何かを表現することはできない。そして動きのないときには、まったくの無表情である。ここでは、これらすべてを「生態学的な制約」と見なし、むしろ積極的に生かせないかと考えた。
 例えば、「自分自身で動けないのであれば、人に動かしてもらえばいい」という発想である。モノが取れなければ、誰かにとってもらえばいい。そもそも自分を表現できないのなら、誰かに積極的に解釈してもらえばよい。
 こうして「一人では何もできないロボット」のコンセプトが生まれてきた。目指すところは「いつも他者を予定しつつ、他者から予定されるロボット」、自分自身の身体における「不定さ」や「不完結さ」を自覚しつつ、他者との間で「一つのシステム」を作りながら行為を実現していくような、そういう「関係論的な存在してのロボット」である。
発表論文等

論文誌

  • 宮本英美,李銘義,岡田美智男: 社会的他者としてのロボット:自閉症児―ロボットの関係性の発展,発達心理学研究,Vol.18, No.1, pp.78-87 (2007).
  • 岡田美智男,松本信義,塩瀬隆之,藤井洋之,李銘義,三嶋博之:ロボットとのコミュニケーションにおけるミニマルデザイン,ヒューマンインタフェース学会論文誌,Vol.7, No.2, pp.189-197 (2005).
  • 礪波朋子,藤井洋之,岡田美智男,麻生武:子どもとロボットとのコミュ二ケーションの成立−モノを媒介とした共同行為, ヒューマンインタフェース学会論文誌,Vol.7, No.1, pp.141-148 (2005).
  • 藤崎亜由子,藤井洋之,岡田美智男,麻生武:ロボットの内と外からみた「こころ」,ヒューマンインタフェース学会論文誌,Vol.7, No.1, pp.113-120 (2005).

国際会議

  • Michio OKADA and Miki GOAN: Modeling Sociable Artificial Creatures: Findings from the Muu Project, Proc. of the 13th International Conference on Perception and Action (ICPA13), Symposium: Formation of Social Perception-Action Units (2005.7).
  • Christoph BARTNECK and Michio OKADA: Robotic User Interface, Proc. of 4th International Conference on Human and Computer (HC-2001), pp.130-140 (2001).
  • Michio OKADA, Shoji SAKAMOTO and Noriko SUZUKI: Muu: Artificial Creatures as an Embodied Interface, Proc. of 27th International Conference on Computer Graphics and Interactive Techniques (SIGGRAPH 2000), the Emerging Technologies: Point of Departure, p.91 (2000).

全国大会・シンポジウム等の予稿集

  • 木村秀生、平井 清、郷間英世、岡田美智男:関係発達論的インタフェースとして開発中のロボットを用いたコミュニケーション発達支援の試行、Assistive Technology & Augmemtative Communication Conference 2008, pp. 81-82, Kyoto (2008.12.6-7).

関連特許

  • 特許 第3494408号 岡田美智男,坂本彰司,鈴木紀子:「電子ペット」,株式会社エイ・ティ・アール知能映像通信研究所,出願日:平成12年(2000) 10月30日,公開日: 平成14年(2002) 5月14日.

外部展示

  • 新川小学校 親子の集い <新川何でも探検隊> 〜体験して学ぼう!!色々な技術・職業〜 (2007/9/22)
  • 少年少女発明クラブ 豊橋市視聴覚教育センター、(2007/8/4).
  • 湖西市立白須賀小学校 「ふれあい科学の集会」(2007/6/8).
  • 渋谷電力館 (2007/3/23-24).
  • 27th International Conference on Computer Graphics and Interactive Techniques (SIGGRAPH 2000), the Emerging Technologies: Point of Departure, p.91 (2000).
Sociable Creatures

Sociable Trash Box

Sociable Dining Table

Sociable PC

mako

ally

culot

peepho

pelat

Muu


Creatures for Multiple-Party Conversation

Mawari

spot

robomo

mimo

DA


Virtual Creatures

TableTalkPlus

nexus

hinoco

minicry


Ecological Creatures

column

inamo

cocoron


Openchallenge Project

bego

onkid

mocomo

tongtong

atinon

Activits